← リーダーシップの責任とは?ドラッカー経営で管理職が成果をあげる方法【社員研修】
こんにちは、ドラッカー講師の村瀬弘介です。
リーダシップ、マネジメントという言葉は、日々の業務でよく聞く言葉ですよね。経営の実践において、管理職のリーダーシップを強化し、組織のマネジメント力を高めるためには、この2つの言葉の意味をきっちり定義する必要があります。
リーダーシップ・マネジメントとは何をすることなのか?また、どう強化すればいいのか?今回は、この2つの言葉をきっちりと定義し、強化するためのポイントを解説します。
このブログを読むことで、リーターシップとマネジメントの違い、そして両者を強化するために行うべきポイントが明確に見えるようになります!
この記事でまとめたこと
まずは、この2つの言葉の意味を、コミュニケーションの名著「7つの習慣:フランクリンコヴィー」に見てみましょう。
■リーダーシップとマネジメントの違い (7つの習慣:スティーブン・コヴィー著より)
書籍「7つの習慣」において、コビー博士はこのように語っています。
「リーダーシップは「正しいこと」を行うことであり、マネジメントは「やり方を正しく(効率的に)」行うことである。」
・リーダーシップとはあり方の正しさ、マネジメントとはやり方の正しさ
例えばチームで、見通しの悪いジャングルを行進しているとします。このチームにおけるリーダーシップとは、このチームのゴール・行先を明確に示すコンパスの役目になることです。チームに正しい方向性(戦略)を与えるものがリーダーシップなのです。
これに対して、マネジメントとは、リーダーの後方から、定まった方向に向かうために、チームの持てる資源を最適配分して、生産性高くチームが動けるように戦術を練り、実行することです。リーダーシップとは、ゴールへ向け向かうコンパス、マネジメントとは、ゴールを最短効率で向かわせる戦術と言えますね。
次は、中国古典である儒教に、リーダーシップとマネジメントの違いをみてみましょう。
■中国古典(儒教)にみるリーダーシップ・マネジメントの違い
・リーダーシップ(君子)とは天・宇宙の道理とつながり、正しい道理を地の民に広める人
中国古典においては、リーダーシップとは、天の道理を把握して、リーダー自身が天と地をつなぐ茎の導管の役目となり、天の道理を地で実践されるように広げていく人だとされています。リーダーシップとは、天とつながり、地とつながり、天の正しいエネルギーと地に届けるというイメージですね。
・マネジメントとは、天の道理を用いた正しい統治によって、人々の幸せな社会を実現すること
中国古典では、マネジメントを示す「修身斉家治国平天下」という言葉があります。この言葉の意味は、リーダー(君主)は自分の行ないを正しくし、家庭もととのえ、国家を治め、天下を平らかにする。儒教において、もっとも基本的な実践倫理で、昔の男子の一生の目的とされたものです。
中国古典(儒教)におけるリーダーシップ・マネジメントの意味を整理すると、リーダーシップとは天の道理を把握し、天とつながった正しい考え(方向性)を広めることがリーダーシップの意味。そして、地において天の道理(正しい考え)がきっちとなされ、社会を幸せにするものがマネジメントだと言えますね。
7つの習慣、中国古典とリーダーシップ・マネジメントの役割の違いを見ましたが、今度は、経営学の父と呼ばれるドラッカーが定義したこの2つの言葉の定義について、「経営におけるリーダーシップ・マネジメント」という観点から見てみましょう。
■経営上のリーダーシップとマネジメントとは何か?(ドラッカーの定義から)
リーダーシップ・マネジメントについては、ドラッカー講師の私は以下の2つように分類しています。
・リーダーシップとは責任である。
ドラッカーは言います。「リーダーシップとは人を支配する権力ではなく、組織をマネジメントして成果を上げる責任である。」と(現代の経営:ダイヤモンド社)
ドラッカーの経営の中心にあるのは、人間が活かされる幸せな組織をどのように実現するかということです。そのため、リーダーシップもその根本は人を活かす責任であり、人を統制支配する権力ではないことを強調するのです。
それでは、リーダーの持つ責任とはどのようなものでしょうか。ドラッカー講師の私は、リーダーの持つ責任として、以下の2つ定義をしています。
・リーターシップの2つの責任
【1】組織をマネジメントして高い成果を上げる責任
【2】メンバーを活かす責任
順に解説していきましょう。
【1】組織をして、高い成果を上げる責任
リーダーは組織の人、モノ、カネという資源を用いて成果を上げる人です。しかも、平凡な成果ではいけません。そもそも、経営の目的とは、リーダー(経営者)が、社会から資源(人・もの・金)を預かり、公衆の利とし、社会に還元することです。
その活用においては、赤字はもちろん罪悪なことですし、リーダーは、経営活動をもって、社会に高い資源の還元をしなくてはいけないのです。仮に社会から資源をあずかりながら、赤字を連続し、資源を目減りさせたとしたらそれは最悪です。
そのため、ドラッカーは、リーダーのあげるべきものは、平凡な成果ではいけない。リーダーは組織をして、「高い」成果を上げさせる存在であると言うのです。
【2】人を活かす責任
リーダーのもとには、フォロワーが集まってきます。もしフォロワーがリーダーに日々いじめられるだけだとしたら、その組織に価値はあるでしょうか?フォロワーは、リーダーに活かされて、仕事を通じて、社会に有益な貢献をするために、リーダーのもとに集まっているのです。
そのため、リーダーシップとは、組織マネジメントにおいて、部下を活かす責任を持ちます。ドラッカー経営の根本にあるのは、いかに人が生きる幸せな組織を実現できるかということです。人間が中心にある経営では、人が人に支配統制されることがあってはいけません。
人はあくまでいかされるもの、という考えに立てば、リーダーシップとは、人を支配する「権力」ではなく、人を活かし、組織に高い成果を上げるマネジメントをする責任という解釈になるのです。
このように、ドラッカーは、リーダーシップを2つの責任であると定義します。それでは、マネジメントとは何をすることなのでしょうか?ドラッカーの定義について解説しましょう。
・マネジメントとは経営の機能用語である。
(マーケティングとイノベーションで顧客を創造する)
ドラッカーは経営の目的について、以下のように語っています。
「事業(経営)の目的は顧客の創造である。」「顧客の創造はマーケティングとイノベーションという2つの機能を用いて行う。」と。(マネジメント・ダイヤモンド社)
マーケティングとは、顧客を理解すること。イノベーションとは、新規事業をつくることですつまりマネジメントの目的は、マーケティングとイノベーションを用いて顧客を創造することだと、ドラッカーは定義しているのです。
ドラッカーの経営においては、マネジメントとは、経営の機能用語といってもいいでしょう。
マーケティング(顧客を知り)・イノベーション(新規事業をつくる)を行うことによって、新たな市場・顧客への価値を創造するというこの機能を、ドラッカーはマネジメントだと定義しているのです。
ドラッカーのマネジメントには、実はもう一つ意味があります。それは、働く人を活かし幸せにするという意味です。
ドラッカーのリーダーシップ・マネジメントについてみてきましたが、もう少しシンプルにすると。
・マネジメント:マーケティングとイノベーションで顧客を創造すること・働く人を活かし幸せな経営を行うこと
・リーダーシップ:マネジメントという機能を推進するエンジン(高い成果をあげる・人を活かす)
ということになります。
ここまでで、7つ習慣・中国古典・ドラッカーの定義する、リーダーシップとマネジメントの違いを解説しました。リーダーシップとマネジメントの違いについて、イメージを持っていただけたと思います。
さて、ここでリーダーシップについて、もう少し話を進めましょう。
私は、弊著「ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則」(産業能率大学出版)の中で、現代の経営では、「3つのリーダーシップの型」を意識して、組織をマネジメントすることが必要だと、定義しました。
「3つのリーダーシップの型」を学び、組織のマネジメント力を高め、効果的な経営をしましょう。その3つのリーダーシップとは、ビジョナリーリーダーシップ・起業家的リーダシップ・チェンジリーダーシップのことを言います。順に解説していきましょう。あなたのリーダーシップの強化の役に立つはずです。
■3つのリーダーシップの型を意識すれば、組織のマネジメントの効果性が高まる。
3つのリーダーシップの型について解説します。
【1】チェンジリーダーシップ(変革リーダー)
経営とは変化する市場・顧客にどのようにして対応していくかということです。変化をマネジメントすることこそ経営の本質であり、外部環境の変化を捉えて機会とすることで利益は生まれます。反面、変化に対応できない企業は永続できません。
経営リーダーは、変化を機会とし、自らが変革の担い手として変化を牽引(けんいん)していく「チェンジリーダーシップ」を持ち、組織をマネジメントする必要があります。
【2】ビジョナリーリーダーシップ(ビジョンを示せる)
ビジョナリーリーダーとは使命を軸として組織のあるべき姿を明確に提示できるリーダーのことを言います。組織のメンバーはリーダーの示す強烈なビジョンに惹(ひ)かれ、大きな仕事を成し遂げます。ビジョンを明確に示せる、社長のリーダーシップがあってこそ、成長へのマネジメントをすることができます。
【3】起業家的リーダーシップ(ビジネスを創造できる)
何もないゼロの状態から事業を立ち上げ、社会に貢献する仕組みをつくり上げるのが起業家です。偉大な企業はすべて、起業家の挑戦とインスピレーションから生まれました。戦後の焼け野原から日本を復興し、豊かにしたのも創業者たちの起業家精神です。
経済成長が停滞する現在の日本においては、再度、「起業家精神」を持って経営を再建し、社会に活力を与えることが最重要です。経営者が起業家的リーダーシップを強く発揮し、組織マネジメントに起業家精神を宿すことで、メンバーを起業家的なリーダーへと進化させることができます。
(出典:村瀬弘介著・ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則 リーダーシップの章より)
この3つのリーダーシップの型を理解して実践することで、あなたのマネジメント力はさらに高まるでしょう。
それでは、次に、リーダーシップとマネジメントを強化するための実践アイデアについて解説します。
■リーダーシップとマネジメントを強化するための具体的方法
一番てっとり早いのは、リーダーシップとマネジメントについて深く解説した実践学、ドラッカーのマネジメントなどで基本的な体系を徹底的に学びながら、日々の経営の中で実践に努めることです。
ドラッカーは言います。
「組織に優劣があるのではない。(リーダーシップとマネジメント)を学んでいるかいないかの違いである。」と。(プロフェッショナルの原点:ダイヤモンド社)
・セミナーで学び、実践することで、確実にリーダーシップとマネジメントは高まります。
もちろん日々の仕事の実践の中で、リーダーシップ・マネジメントは高まっていくものです。しかし、それに加えて、これまでに研究されているリーダーシップ・マネジメント体系・経営の原理原則を学ぶことでさらに効果を高めることができるのです。
実践し、原則を学んで振り返り、改善して実践することで、メンバーのリーダーシップとマネジメントはより洗練され、効果的なものになるのです。
■リーダーシップ・マネジメントは、ドラッカー講師・村瀬弘介の研修で強化することが可能です。
ドラッカーも、リーダーシップは学ぶことができる、研鑽して高めていくことができる資質であると言っています。
無手勝流ではなく、しっかりと、リーダーシップ・マネジメントの実践、体系的な研修等での学びを行き来しすることで、効果的に資質を高めていくことが可能になります。
ドラッカー講師の村瀬が代表を務める当社の名前は、「日本リーダーシップ・オブ・マネジメント㈱」と言います。この会社の名前はまさに、経営リーダー、ビジネスパーソンのリーダーシップとマネジメント力を高めるという志のもと命名しました。
弊社は、経営の原理原則・ドラッカーの理論を中心に、経営リーダーのリーダーシップとマネジメントを育成していきます。
特にドラッカー理論を用いた、中小企業の研修、人材育成については、日本一の実績があります。是非一度、魂から燃える、情熱的なドラッカー講師村瀬の経営セミナーをご受講されてみてください。
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ブログ執筆者 ドラッカー専門の経営コンサルタント 村瀬弘介
2002年、大学卒業後、株式会社KUBOTAの人事教育部で全社の人材育成を担当。2011年、経営と起業家精神をより深く学ぶために日本経営道協会(コンサルタント)に転職。
2013年、小宮一慶氏の経営する株式会社小宮コンサルタンツに経営コンサルタントとして転籍。本格的な経営コンサルティングを開始。マネジメントを学ぶ中で、【ドラッカーの人を活かす経営】との運命的な出会いを果たす。
人が活かされ、高い成果を上げる幸せな企業をつくることこそ自分の天命だと悟り、2017年独立。「高い理想と自己犠牲の精神で、人の魂の成長に貢献する」「リーダーの人格の向上に奉仕する」をコンセプトに、使命感を持って日々の業務にあたっている。
講師としても依頼が絶えず、全国の商工会議所、経営者団体など各種経済団体でのセミナー講師、上場企業・中堅企業での研修講師を年間200日以上務める。「情熱的でドラッカー愛に溢れる講義は、まるでドラッカーのイタコだ」「ドラッカーが降りてきた」「マネジメントの真髄を見た」と熱狂的に支持する経営者が後を絶たない。
著書:『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則(産業能率大学出版部・Amazon【企業経営部門】第2位)』