マーケティングカンパニーに進化するためには、マーケティング会議を行います。

組織にマーケティングを浸透させ、習慣とする会議です。月に一度開催します。

次に挙げたのは会議で使うことのできる確認シートです。

シートを見ながらそれぞれの項目について解説していきます。

マーケティング会議で話し合う項目

まず、会議の中で話し合う項目である【1】〜【4】についてそれぞれ細かく見ていきます。

【1】予期せぬ成功はないか?

予期せぬ成功(これまでなかった顧客からの問い合わせ)は、注意深く分析する必要があります。

しかし、予期せぬ成功が教えてくれるものは、「企業が気づいていない、既にある市場・顧客の欲求」です。

ペット保険が誕生した時を考えてみます。

損害保険会社に、これまでになかったような顧客からの問い合わせが入ってきました。

「うちのワンちゃん、病気になって入院費が30万もかかるの……お宅の会社でワンちゃん向きの保険やっていない?」

通常の窓口担当でしたら、

「(はあ……変なお客様だな……)うちは人間向きの保険しかやっていません」と電話を切って終わります。

予期せぬ問い合わせの価値を知っている担当でしたら、

「あ!今まで聞いたこともない問い合わせだ、これは分析する必要があるぞ……」と詳しいヒアリングをします。

そのようにして、市場にはペット向けの保険の需要が高まっていることに気づき、ペット保険を商品化し、他社に先行して商機を得ることができたのです。

■ポイント

今までにない顧客からの問い合わせは、企業が気づいていなくとも、既にある市場・顧客の欲求を教える。

←新商品・サービスを創るヒントとなる。

【2】顧客のクレーム・意見

クレームを言ってくれる顧客は、一般的に3%と言われています。

クレームを解消するだけで、顧客満足度を高めることができます。

私のクライアントは、クレーム報告を、「チャンスの声」と言い換えています。

クレームを解消することを、顧客とつながる最大の機会と捉える。

ピンチをチャンスに変える逆転の発想です。

クレームゼロ運動は、絶対に行ってはいけない

クレームゼロ運動というのは、絶対に行ってはいけないものです。

事業活動をしていれば、クレームは一定比率で必ず発生します。

クレームゼロ運動をすると、クレーム隠しが起き、組織を重大な危険にさらします。

「クレームについては即刻上司に報告、そしてクレームを上げたことについては、叱らない」

「報告せずに、隠した場合については厳罰に処す」という姿勢がクレームに対する正しい方針です。

心理的に上げにくいクレームを、いかに上げやすくするかが重要です。

■ポイント

クレームをチャンスとし、クレームが上がる文化を創る。

【3】トレンド分析

異なる業界を見て、自社に模倣できるものがないかを分析します。

マーケティングにおいては、自社の外を注意深く観察する意識を持つことが大切です。

業界内だけを見ていたのでは、ブレイクスルーのヒントは見いだせません。

業界の外に目を配って、はじめて新たな機会を見いだせます。

使い古された業界内のアイデアよりも、外に新たなヒントは埋もれているのです。

創造的模倣戦略で、業界の壁を破るブレイクスルーを起こす

マーケティング戦略の1つに創造的模倣戦略というものがあります。

他社・他業界のやり方を一工夫してまねてしまうという戦略です。

業界外から持って来てしまうため、自分の業界の固定観念を超えたブレイクスルーが起こせる戦略です。

動画解説 ドラッカーの創造的模倣的戦略

〈事例〉業界の外を見て、ブレイクスルーを起こしたオフィスグリコ

オフィスグリコというサービスがあります。

オフィスに菓子の詰まったスタンド(箱)を置き、菓子を食べる人はお金を入れ、食べたいものをいつでも購入できる。

富山の置き薬ならぬ、グリコの置き菓子です。

薬業界に既にあったアイデアをまねただけです。

しかし、菓子業界では誰もやっていなかったものです。

菓子をいつもオフィスに置いておけば、残業時に、買い出しに行く手間も省けるという素晴らしいアイデアです。

外からまねして持ってくるだけで、業界内にこれまではなかった、新サービスを実現できるのです。

■ポイント

・業界の内だけを見ていたのでは、ブレークスルーは生まれない

・業界の外を見て、自社に活かせるサービスを一工夫して、模倣する。

→創造的模倣戦略で、業界の常識を破る新商品・サービスを実現する。

【4】競合の商品分析

ビジネスは相対競争です。

顧客にいかに、競合よりも優先して選ばれる存在になれるか?

数社と比較し、勝てる差別化ポイントを考えます(競合情報は、顧客・WEB・業界新聞から入る情報から類推します)。

競合の優れた取り組みは、まねして自社に取り入れることもできます。

優れた競合2、3社をベンチマークして、競合の戦略を定期的に分析します。

■ポイント

・ビジネスは相対競争・必ず競合を分析し、勝てる差別化ポイントを探す。

・競合数社をベンチマークし、優れた取り組みをまねして取り入れる。

マーケティング会議からアクションプランヘ落とし込む

シートの【5】ー【7】で、次回の会議に向けての課題・アクションプランに落とし込みます。

これらを、毎月繰り返していきます。

マーケティング会議は、機会に集中することを意識して下さい。

マーケティング会議は、機会(商機)追求会議

マーケティング会議は、マーケティングを浸透させ、視点を外部に向け、事業機会(商機)を追求する会議です。

事業で大切なことは、機会の追求です。

事業の利益は機会の追求によってのみ得ることができます。

マーケティング会議では、問題よりも機会を見る

問題解決型から機会追及型の会議へ

問題よりも機会についてメンバーの関心がいくようにします。

問題について話すより前に、まず初めに、機会について徹底的に議論して下さい。

問題は解決してもゼロに戻るだけです。

利益は機会からしか生まれません。

まず機会ありき、なのです。

組織を、「問題ではなく、機会に集中するマーケター集団」に進化させる必要があります。

■マーケティング会議のポイント

・組織が外部の変化に気づく、外部志向の組織になる。

・組織が機会追求型のマーケター集団に進化する(問題よりも機会に集中)。

・組織が顧客・競合・外部の変化を捉えて、事業機会へと変えるマーケティングカンパニーに進化する。

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