経営・マネジメントの本質が分かる ドラッカーの名言12選 

「もしドラ」でビジネスパーソン以外にも有名になったピーター・ドラッカーは、
現代経営の父・マネジメントの発明者と呼ばれます。

そしてドラッカーのマネジメント思想の根底にあるものは人間の幸せです。
組織の中で、人が活かされ、幸せになれるかということがあります。

今回は、ドラッカーの名言に見る、人を活かすエッセンスを取り上げて、マネジメントの本質に迫ります。


■1 マネジメントとは人のことである。

マネジメントとは、人にかかわるものである。
その機能は人が共同して成果をあげることを可能とし、
強みを発揮させ、弱みを無意味なものにすることである。

出典:「マネジメント」 P.F.ドラッカー

ドラッカーの経営の本質にあるものは、人間の尊厳です。
人がいかに幸せになれるか、自らの強みを用いて世の中に貢献する
創造的な存在に成長できるかを説く人間学的な要素もあります。

強みだけが結び付き、弱みが無きものとされる組織を作り上げる事は
経営者にとっての重要課題です。

■2 人が成果を上げるのは強みによってのみである。

人が何かを成し遂げるのは、強みによってのみである。
弱みはいくら強化しても平凡になることさえ疑わしい。
強みに集中し、卓越した成果をあげよ。

出典:「マネジメント」 P.F.ドラッカー

ドラッカーの経営では、人の強み、組織の強みにフォーカスします。

マネジメントを実践し高い成果を上げる企業が多いのは、メンバー
自社の強みに集中するからです。

強みに集中するからこそ、組織も個人も高い成果を上げるのです。

■3 強みは当然とできるもので気づかない。

知っている仕事はやさしい。そのため、自らの知識や能力には
特別の意味はなく、誰もがもっているに違いないと錯覚する。
逆に、自らに難しいもの、不得手なものが大きく見える。

出典:「創造する経営者」 P.F.ドラッカー

ほとんどの人が自分の強みを知らない、弱みさえ知らないとドラッカーは言います。
個人の強みは当然としてできるが故に、自分では気づきにくいものなのです。

メンバーの強みは、組織が意識して発見する必要があります。

お互いの強みを理解し、相互に利用し合える関係を創ることが成果を上げるコツです。

■4 他社との比較で自社の強みを見つけ出す。

他社はうまくできなかったが、わが社はさしたる苦労なしにできたものは
何かを問わなければならない。同時に、他社はさしたるくろうなしにできたが、
わが社はうまくできなかったものは何かを問わなければならない。

出典:「創造する経営者」 P.F.ドラッカー

競争環境の中でライバルに勝つためには、自社の強み・弱みを厳しく見つめなおす必要があります。強みに集中し高い成果を上げることがドラッカー経営の本質です。

競合他社数社と比較して、顧客に対して提供する価値の観点から、自社の強み弱みを分析する必要があります。

■5 成功するためには一点の強みに集中して卓越する必要がある。

多くの領域において卓越することはできない。しかし成功するには、
多くの領域において並み以上でなければならない。いくつかの領域において
有能でなければならない。一つの領域において卓越しなければならない。

出典:「創造する経営者」 P.F.ドラッカー

ドラッカー経営では、集中するので高い成果が生まれます。集中するためには何にでも取り組むのではなく、一つの領域に焦点を絞る必要があります。

自社の強みがあり、卓越した成果を埋める領域を定め、その強みをライバルが到達できない卓越したレベルにまで強化する必要があるのです。

■6 組織の目的は、人の強みを爆発させ、弱みを無くすこと。

人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。人は弱い。悲しいほどに弱い。
問題を起こす。人とは費用であり、脅威である。
しかし人はこれらのことゆえに雇われるのではない。人が雇われるのは、強みのゆえであり
能力のゆえである。
組織の目的は人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある。

出典:「創造する経営者」 P.F.ドラッカー

人を最大の資源として扱い、その強みを爆発させ、チームで弱みは中和することがマネジメントの本質です。

メンバーの美点(強み)のみを見て、悪い点を昇華させていくことが、ドラッカーの人間中心の経営の最大のコンセプトであるといっても過言ではありません。

あなたの組織では、人の強みが活かされているでしょうか?

人を活かすとは、人の強みを活かすということなのです。

■7 凡人が非凡な働きをできる組織が目指すべき組織である。

組織の優秀さとは、凡人をして非凡な働きをなさしめることにある。

出典:「マネジメント」 P.F.ドラッカー

この世の中に、キラリと光る天才のような人はまれで、組織のほとんどの人は凡人です。
この普通の人をいかに生かし、組織の中で非凡な(卓越した)仕事をしてもらえるかが重要です。

凡人に卓越した仕事をしてもらうためには、その強みのみに集中でき、弱みは補いあって無きものとする組織を実現することが大切になります。

■8 人こそが最大の資源である。

マネジメントのほとんどがあらゆる資源のうち、人が最も活用されず
能力も開発されていないことを知っている。
だが、現実には、人のマネジメントに関するアプローチのほとんどが、
人を資源としてではなく、問題、雑事、費用として扱っている。

出典:「マネジメント」 P.F.ドラッカー

組織でもっとも大切な資源は、働いている「人」です。
人の成長は無限で、人は最大の伸びしろを持っています。人の成長こそ、組織の成長です。組織の目的は人のエネルギーを爆発させ、卓越した成果を上げてもらうことにあります。

人の能力を高め、マネジメント能力を開発する取り組みこそ、組織の成長に結びつくものです。

■9 メンバーが相互に人間として尊敬される組織風土を築く。

仕事の上の人間関係は、尊敬に基礎をおかなければならない。
これに対し心理的支配は、根本において人をばかにしている。
マネジメント(管理職)のみが健康で、他のものは全て弱いとする。

出典:「マネジメント」 P.F.ドラッカー

心理的支配とは、アメとムチで人の心がコントロールできるとする理論です。
ドラッカーは人はもともと、創造的で成長を望む存在であると考えます。

人の心はアメとムチのようなまやかしの仕組みでコントロールするものではなく、相互に敬意を持って成長を期待する関係こそ、健全な組織といえるのです。

■10 部分を合わせたものよりも、全体の総和で大きな成果を生む。

マネージャーの役割は、部分の和よりも大きな全体、すなわち投入した
資源の総和よりも大きなものを生み出す生産体を創造することである。
オーケストラの指揮者のように、リーダーの行動、ビジョン、指導力を通じて各メンバーを統合し、創造的なものとして活かすことである。

出典:「マネジメント」 P.F.ドラッカー

組織の成果に責任を持つものがマネージャーです。
1+1=2ではなく、メンバーが強みを活かしあい、弱みをカバーしあうことで
相乗効果を発揮してさらなる高い成果を発揮できるようにすることがマネージャーの役割です。

そのためには、どこに進むかというリーダーのビジョンが不可欠になります。

■11 マネジメントとは権力ではない、人を活かす責任である。

マネジメントはもともと権力をもたない。責任を持つだけである。
その責任を果たすために権限を必要とし、現実に権限を持つ。
それ以上のなにものももたない。

出典:「マネジメント」 P.F.ドラッカー

人をマネジメントするということは、人を統制、管理する権力を持つことではありません。
人の持つ強み・創造性を発揮させ、社会の利益につなげる責任を持つということです。

マネジメントは、人を活かす責任、そして組織に高い成果を上げる責任を持つものなのです。

■12 部下の弱みを見るものは、マネージャー失格である。

部下の弱みに目をむけることは、間違っているばかりか無責任である。
上司たるものは、組織に対して、部下一人ひとりの強みを可能なかぎり活かす責任がある。
そしてそれ以上に、部下に対して、彼らの強みを最大限に生かす責任がある。

出典:「経営者の条件」 P.F.ドラッカー

マネージャーとは組織の高い成果に責任を持つものです。組織に成果を生むためには、メンバーの強みを活かし、強み同士が結び付く組織を創る必要があります。

部下の弱みばかりに注目し、弱みをいくら克服しても、平均・平凡な成果しか上げることはできません。卓越した成果を上げるためには、メンバーの強みを見る必要があるのです。

■ まとめ

経営・マネジメントの本質が分かる ドラッカーの名言12選 いかがでしたでしょうか。

ドラッカーのマネジメントの根底にあるものは、人間への熱い想い、人間性の経営における実践、人間の成長への期待、人が活かされる幸せな社会なのです。

そしてグーグル、アップル、ユニクロなど現代の成長企業の多くがドラッカーの思想を軸に発展していきました。

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