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経営の目的は環境に順応(屈服)することではない。環境変化を機会として新たな価値創造に挑戦する姿勢にこそ、経営の本質がある。
経営の目的は、顧客(ファン)を創り続けていくことです。顧客を創造して、はじめて事業を成立させることができます。
顧客創造とは、新しい顧客を継続して生み増やし続けていくこということです。大切なのは、既存顧客の維持のみではない、ということです。
「企業の目的は定義は一つしかない。それは顧客を創造することである。」とドラッカーも断言します。(引用:「経営の哲学」著者:P.F.ドラッカー/編訳:上田惇生/発行:ダイヤモンド社)
環境順応の経営と顧客創造の経営
経営には2つあります。環境順応の経営と顧客創造の経営です。
環境順応の経営とは、景気に連動して業績も上がり下がりすることを言います。
不景気の時代では、売り上げが下がるのは仕方ないことだ、と考えます。
対して、顧客創造の経営とは、景気に踊らされず、顧客を創造し続けます。不況環境にも敢然と立ち向かいます。
近年、山ガールが大流行しました。ファッショナブルなウェアに身を包み、山登りを楽しむ女性達です。
筆者は、京王線沿いに住んでいたのですが、週末になると高尾山に登る女性で電車内はごった返し、麓は繁華街のように混み、リフトが90分待ちになる勢いです。
6,7年前まではこのような光景はありませんでした。
山ガールは女性向のファッショナブルなウェアを提供したアパレルメーカーと、山側もトイレ環境を整えたりして
新たに創造された顧客なのです。 ビジネスが新たな顧客を創造したのです。
顧客創造の経営は、創造性に富み、機会志向です。
景気に囚われず、市場の常識を覆し、新しい顧客を創造します。
事業に創造性と、勇気を与え、未来へ挑戦させる経営、それが、顧客創造の経営です。
現在、事業は右肩上がりですか?
日本のほとんどの市場が、停滞期・衰退期に入っている状況です。
このような時代においては、環境順応の経営では、市場に翻弄され、経営も勇気を失います。
市場が停滞している時期こそ、顧客創造の経営に最大の意義があります。
セミナーに参加頂いた社長にお聞きして、深く印象に残っていることがあります。
「祖父から受け継いだ事業は衰退事業です。ここ数年は売上の維持がやっとで、成長も見込めません。
そんな中、暗中模索で経営をしている状況でした。しかし顧客創造の経営のコンセプトを聞き、起業家としての使命に目覚めました。
ドラッカーを知った今、心からこの事業で社会に貢献したいと思っております。顧客創造の経営は、新たに挑戦する勇気をくれました。」
「経済的な成果は、景気の良し悪しによってもたらされるのではない。人によって実現されるのである。
(引用:創造する経営者 著者:P.F.ドラッカー/訳:上田惇生/発行:ダイヤモンド社)」とドラッカーも、起業家の挑戦的姿勢の重要性を強調します。
(補足)
顧客を創造する時には、非顧客(自社を利用してもおかしくないのに、未だ利用していないお客様)に注目します。
前例の山ガールは、非顧客です。
山に行きたいと思う女性は、多くいたのです。しかし、お洒落なウェアが無い、トイレ環境が悪いといった状況があり、登山をできずにいたのです。非顧客が顧客化したときに、ブレイクスルーが起きます。
市場は飽和することなどありません。飽和するのは、経営者の頭の中だけです。
常識を疑い、市場に挑戦すれば、打ち手は無限です。
顧客創造の経営で、ブレイクスルーを起こすのです。
今回のポイント
経営の本質は、顧客の維持ではなく、顧客創造である。
顧客創造の経営と環境順応の経営
動画:事業の目的は顧客の創造である
書籍『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』
リーダーシップとは権力ではない。働く人を活かし、成果を上げる「責任」である。経営の中心は『人間の尊厳』にあるべきだと亡きドラッカーは訴えた。現代リーダーのための現場で実践できる『人間中心の経営』『立志の指南書』
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