経営の最重要機能であるとドラッカーの説く、「マーケティング」は決して難しい考え方ではありません。

現代マーケティングの父・コトラーは言います。

「マーケティングを学ぶことは1日でできる。しかし実践するのには一週間かかる。」

顧客を深く理解し、顧客への価値向上に邁進んする社員をマーケターと言います。

全社員をマーケター化し、マーケティングに強い組織実現するにはどのようにしたらよいのでしょうか。

まず全社員がマーケティングという考え方をしっかりと理解することが大切です。

マーケティングというコンセプトを明確に理解して、はじめて実践することができます。

明確に定義しないことを実践することは不可能です。

マーケティングという言葉を定義すると以下の3つになります。

【マーケティングの3つの定義】

【1】お客様の~にこまった・もっと~したいを知る。(顧客を理解する。)

【2】競合他社を知る。(競合他社を理解する。)

【3】変化を機会とする。(市場・顧客におきている変化を知覚し、事業機会とする。)

 

【1】お客様の~にこまった・もっと~したいを知る。(顧客を理解する。)

まず「マーケティングとは顧客からスタートすることである。」というドラッカーの言葉にならい、顧客を深く理解するが第一のスタートです。

そのためには顧客に「直接」聴いて、質問しなければなりません。

企業の中で顧客について想像してはならない、それは妄想になってしまいます。

「顧客のことは複雑すぎて、顧客に直接聞かなければ分からない。」

「企業の中で顧客について企業が顧客について想像することの大抵は間違っている。たとえ馬鹿だと思われても、直接顧客に聞きなさい。」(ドラッカー)

 

【2】競合他社を知る。

ビジネスは「相対競争」です。顧客が商品を購入するときに御社一社からのみ見積を取り、購入することはありません。

顧客は必ず競合他社と比較して、検討します。

顧客に選んでもらおうと思ったら、競合他社と比較して、優れた商品を提供する必要があります。

そのため、競合がどのような商品・サービスを提供しているかを研究し、競合よりすぐれた商品・サービスを提供してはじめて競合に勝つことができます。

競合についての情報は、ホームページやお客様から聴いて分かる限られた情報でも結構です。完全な情報が入ってくるわけではないですが、分かる範囲で必ず比較検討する必要があります。

 

【3】変化を機会とする。

ドラッカーは言います。

「変化を機会とせよ。」

そのためには、積極的に変化を捉え、知覚せよ。

最近河口湖畔で、富士山を見ながら蟹を食べるというツアーが大ヒットしました。これはインバウンドの顧客が増加し日本のイメージを満喫したいと思った顧客が現れたからこそできた新ツアーです。

これまでの日本人の中では、富士山の近郊で蟹は獲れないし、蟹を食べるなら北陸や、北海道などが常でした。

しかしインバウンドの顧客にとっては、蟹の産地でなくても、富士山と併せて日本を満喫できれば一挙両得です。

このため、日本人の常識にはない、河口湖畔で富士山を見ながら蟹を食べるというアイデアがヒットにつながったのでした。

これは日本にインバウンド市場の拡大という変化が生じたからこそ、そのことを機会と転じた事例と言えます。

「変化の中に機会が生まれる、変化を捉え機会とせよ。」【ドラッカー】

ドラッカー経営・特にマーケティングの本質において企業の外におきた変化を捉えるということは極めて重要です。

よくビジネスマンの常識として、新聞を読みなさいというのも、第一の理由はマーケティングの機会として生かせる「変化」を見つけ出すためにあるのです。

マーケティングでは以上3つの基本要件を全社員が理解し、実践する必要があるのです。

そして、先ほどコトラーの述べたように、理解することは1日でもできます。

それを仕組として実践していくためには一生かかるくらいの努力を要します。

全社員が顧客を理解し、競合を分析し、変化を機会を追及する会社を「マーケティングカンパニー」と言います。

これから生き残っていける会社は、この外部の変化を機会とするマーケティングカンパニーという概念なのです。

是非、この全社員をマーケター化し、機会を追及するドラッカーのマーケティングカンパニーを創っていきましょう。

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